ことばの選択と伝え方
普段何気無く使っていることばには癖がある。
それは言葉の選択や使い方に表れる。
育ってきた環境や触れてきたモノ・コト・ヒトの影響を受ける。
ことばは思考そのものだから、考え方にも癖は出てくる。
そして、伝えたいことがあるときには、そのことに十分注意する必要がある。
学者が話すことばと、商人が話すことば、政治家が話すことばは当然変わってくる。
各々の世界で生き残る術であるかもしれないし、仲間であることを判断する材料であるかもしれない。
友人や家族、恋人に話すことばもきっと違う。
想いを伝え合うのに最適だと思うことばを文脈に当てはめていく。
ひとたびその選択を間違うと、ときにはよそ者と見做され、警戒をよぶことになる。
難しいことを難しそうに語られることを好む人もいれば、とにかく平易簡潔に例えられることを望む人もいる。
いま自分のいる場所が、これから語ろうと思っているところが、どういった場なのか。
伝えようと思っている相手がどんな人で、彼らが語ることばは何なのか。
それを知るためには、そこにいる人たちのことばに耳を傾けること。
ただ真摯に、ただ素直に。
よそ者であることに変わりはないかもしれないけれど、それならば一層、寄り添うように。
敬意を持って。
きっと僕の場合は、「都会から突然現れたIT系という若造」が語ることばの意味をもう少し考えるべきで、伝える相手が農家の夫婦なのか、メーカーの社長なのか、自治体のお姉さんなのか、銀行のおじさんなのか、社団法人の偉い人なのか、政治家なのかをもっと意識すべきなんだと思う。
生意気でどこか鼻につく、いけすかないやつにきっとなっていたんだろうな。
難しいことをわかりやすく伝えることも大切な能力だけれど、前提を理解して自分の立ち位置を把握しておくことがまず必要だったな、なんて振り返る今日この頃。